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コラム

No.1 給水管に使用するヘルメについて

役に立つ「社長の現場レポート」

最近、配管の接合で使用するシール材(ヘルメチック)が給水管から継続的に排出しているというクレームが多くなっている。
以前から時々こうした事例は報告されていたが、ここ数年、当社に問い合わせが来る件数も目立って多くなっている。そしてその特徴として、排出したヘルメは硬化せず柔らかい。排出期間は短いもので数ヶ月、場合によっては数年に渡るという事例もある。

以前は蛇口の泡沫栓のメッシュに引っかかり、目詰まりを起こしたとしても、これらのヘルメは硬化しており、掃除すればその後トラブルも発生していない。

原因として次のようなことが推定される。

①工期が短くなり、硬化前に通水試験をしてしまうため、固まりにくくなった。
②ヘルメシール材の成分が変わった。
③配管の接合法が変わった。

①に関しては、10年ほど前から工事の工期が短くなり、配管したらすぐに水張りを行い、機密・通水試験を実施するようになってしまった
からだと言われている。

②に関しては当社でも問屋を通じてメーカーに問い合わせをしてもらったことがある。問い合わせをした2社とも以前と同じ成分の配合で出荷
し、JWWAにも則っているとのこと。
職人が使い古した「ショウ」の抜けたヘルメを使用していたからではないかという返事であった。
確かに、使い古しのボトルに入ったヘルメシールは溶剤が固まらず「ボソボソ」したような状態になる。

③に関しては、あくまでも当社の考え方である。
給水管の接合材は主にシールテープ(テフロン製)とヘルメシール(樹脂)の2種類があり、特に水道用ヘルメシールは国土交通省の機械設備工事共通仕様書や日本水道協会の適合品として認定されており、水道法の水質基準にも適合している。

ヘルメシールが開発されると単価が安くシール性に優れるということで大いに普及した。しかしながらヘルメシールの場合、シールテープのように何回巻きつけたら良いかという明確な基準がない。
そのため、職人によって塗布量が異なる。そして一度水漏れを経験した職人は、その後どうしても多目に塗布するようになる。

ヘルメシールは一度乾いてしまうと、シールテープと違って塗布したネジ部から除去することが難しくなる。
そこで配管接合時に漏れを確実に防ぐ方法として、ネジ部にヘルメを適量塗布し、その上にシールテープを巻いてから配管するという方法が採られるようになってきた。

この方法は20数年前、ある衛生大手のサブコンで初めて採用してから、職人の間で普及することになった。その結果、水漏れ現象は、ほとんどなくなり、施工技術も向上したものと考えられる。
ちなみに、この水漏れ現象はポタポタと涙が落ちる様なので、業界用語では「泣く」と言っている。

しかしながら、当社ではこの施工法が結果としてヘルメシールを固まりにくくし、供用後継続的に排出してしまう一因ではないかと推測している。

ヘルメシールの塗布量が多い場合、その上からシールテープを巻きつけると溶剤が揮発しにくくなる。その結果、ヘルメシールは固まりにくくなり、通水してしまうと、柔らかいまま配管内に残留してしまう。
実際、ヘルメシールが出て、クレームが発生している現場を内視鏡で覗くと、ネジ部からは固まらずはみ出したヘルメシールが多々みうけられる。

また、当社に問い合わせがあった事例の中には、リニューアル工事で給水管の盛替えを実施した後、ヘルメシールで使用する溶剤のトルエンが溶出する事態が発生した。その結果、客先に対し数ヶ月に渡ってこの異臭のクレーム対応に終始したことになった現場がある。

以上ヘルメ排出の原因を考察してみたが、いずれも原因として特定するまでには至っていない。

現場ごとに原因や状況が違う場合も考えられます。
いずれにしても、口に入る飲料水ですので早めの配管洗浄が必要です。
給水管からヘルメシールが出てお困りの施設がございましたら当社にご相談ください。